福島原発処理水関連の問題で中国が輸出規制していた時期の日本の水産業者の取り組みと日本政府・国の対策と『お前に水産物は売らんっ!』な高市早苗さんのLINEスタンプ
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昨日の記事と一部被るが、福島原発の処理水問題の際の中国の禁輸措置に対して日本の水産業者や政府は様々な対策を講じた。
もし中国なしで商売が成り立つのであれば、そのようにサプライチェーンを再構築するのが良いと思う。
気まぐれな中国への輸出に頼る構図というのはリスクが高すぎるからだ。
以下、福島第一原発の処理水(ALPS処理水)の海洋放出を契機として、中国が日本の水産物を全面禁輸とした件について、日本の水産業者の取り組みと日本政府・国の対策を、主な水産物カテゴリごとに整理・分析しながら解説する。
はじめに
2023年8月24日、東京電力は福島第一原発の処理水を希釈して海洋放出を開始した。これを受けて、中国は即日、日本産水産物の輸入を全面停止する措置をとった。 朝日新聞+2ガーディアン+2
この禁輸は、日本の水産業に大きな打撃を与えた。特に、ホタテやナマコ、ブリなどが影響を受け、価格下落や輸出先の喪失が問題化した。 朝日新聞
一方で、日本政府および業界は禁輸に対抗するため、多面的な対策を打ち出してきた。2025年6月には、日中両政府が再輸出に向けた手続きで合意。 Nippon+2朝日新聞+2
本稿では、商品別・カテゴリ別に日本の水産業者の取り組みと政府・行政の対策を整理し、両者の動きをわかりやすく分析する。
1.中国の全面禁輸措置の経緯と影響
1.1 禁輸の発端と中国側の主張
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中国は処理水の海洋放出開始を受け、同日付で日本原産の水産物を全面禁輸とした。 朝日新聞+1
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中国外務省は「日本政府が合法性や浄化装置の信頼性、データの正確性を証明しておらず、国際公共の利益を無視している」と強く批判。 朝日新聞
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中国は食品安全リスクを懸念し、放射性物質検査の強化を理由に禁輸措置を実施。 ガーディアン
1.2 禁輸が水産業界にもたらした打撃
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禁輸開始前から、日本の鮮魚(生魚類)などの対中輸出に実質停止状態があった。 朝日新聞
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特に、ホタテやナマコ、ブリなどが価格下落を起こし、漁業・加工業の経営を圧迫。 朝日新聞
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自民党や業界からは追加対策を求める声が強まり、水産庁への聞き取りでも影響の深刻さが明らかになった。 朝日新聞
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また、禁輸を「想定外」と語る企業も多く、価格調整・代替市場探索の必要性が浮き彫りになった。 朝日新聞
2.日本水産業者の対応・取り組み(商品別)
以下に、主な水産物カテゴリ別に業者が取ってきた具体的な取り組みを整理する。
2.1 ホタテ(帆立貝)
影響
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ホタテは中国向け輸出が極めて大きかった。禁輸後、国内在庫があふれ、価格が大幅に下落。 テレ朝NEWS+2朝日新聞+2
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北海道では、ホタテ1キロあたりの取引価格が禁輸前と比べて20円以上下落した。 テレ朝NEWS
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加工業者の中には、中国への依存度が高かった会社もあり、禁輸ショックは深刻。 朝日新聞
業者の対策
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販路転換: 中国以外の地域への輸出や国内消費向け販売を強化。国内の鮮魚店などで「常磐もの(福島産・近隣県産)」のホタテフェアを実施。 テレ朝NEWS
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加工方法の見直し:中国向けの殻付きホタテを、ベトナムで加工(剥き・冷凍)して日本に逆輸入する取り組みを開始。 朝日新聞
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生産コストと効率改善:高齢化などの課題がある加工現場では、作業効率を上げるための機械化(例:殻むき機など)の導入を模索。 朝日新聞
課題・懸念
2.2 ナマコ(海鼠)
影響
業者の対策
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輸出再開の準備:中国の輸入再開に備え、ナマコ製造・加工業者が再登録準備を進めている。 朝日新聞
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国内販売強化:禁輸期間中、国内市場向けにナマコ製品を販売。地元の飲食店や小売店との連携によって、消費拡大を図る。
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品質・検査強化:輸入再開後の要求を見越し、放射性物質検査など品質保証体制を整備。
課題・懸念
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再開手続きが進んでも、許可を得る事業者は限定的(再登録が必要、認定施設のみ)で、即時本格回復には時間がかかる見通し。 YouTube
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再輸出に伴うコスト増(検査証明、物流コストなど)が収益性を圧迫する可能性。
2.3 ブリ(養殖・漁獲魚類)
影響
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ブリも禁輸の影響を受け、価格下落が確認された。 朝日新聞
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輸出依存のあった地域・業者では代替市場の模索が急務となった。
業者の対策
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国内転流:輸出できない分を国内市場に回す。ただし国内需要だけでは吸収しきれないケースも多い。
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輸出先の多角化:中国以外のアジア市場(東南アジアなど)や欧米市場を探ることでリスクの分散を図る。
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ブランド強化と信頼回復:検査体制・トレーサビリティを強化し、放射性物質や産地の安全性を内外に発信。地元漁協や自治体と協力して、「安心・安全ブリ」のPRを進める。
2.4 その他水産物(鮮魚、貝類、加工品など)
影響
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鮮魚類(生魚)は禁輸前から実質輸出が停止していた。 朝日新聞
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加工品(冷凍魚、缶詰、干物など)は、中国市場依存のものが多く、禁輸はサプライチェーンに打撃を与えた。
業者の対策
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国内需要開拓:飲食店、スーパーマーケットとのタイアップやキャンペーンを通じて、国内消費を掘り起こす。
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加工・付加価値強化:冷凍技術、加工技術を使って輸出向け以外にも販売可能な製品を開発。
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信頼構築:放射性物質の自主検査、公表を行い、業界として透明性を高める。地域ブランドを強化し、消費者に安心感を提供。
3.日本政府・行政の対策
中国側の禁輸に対して、日本政府もまた水産業を守るために包括的な対策を講じてきた。主な政策・施策を以下に整理。
3.1 緊急支援と財政措置
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岸田首相は禁輸発表後すぐに、基金(既存の水産業支援基金)への積み増しを表明。 朝日新聞
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支援パッケージとして、約207億円を予備費から確保。 朝日新聞
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具体的には、以下の五本柱を据えた支援を実施:
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国内消費拡大・生産持続
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風評被害対応(国内外)
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輸出先の転換(多国化)
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国内加工体制強化
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迅速な賠償制度 朝日新聞
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ホタテ業者などへの追加支援として、200億円規模の支援案も検討された。 朝日新聞
3.2 モニタリング強化・国際協力
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日中間で、IAEA(国際原子力機関)も交えた追加的モニタリング体制の構築で合意。 朝日新聞+1
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このモニタリングには海水の採取、放射性物質分析、専門家の参加などが含まれ、中国側も参加。 朝日新聞
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これにより、科学的根拠に基づいたデータ提供を強化し、中国側の不安を払拭する狙いがある。
3.3 輸出再開の交渉と合意
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2025年5月30日、日中両政府は日本産水産物の輸出再開に向けた手続きで合意。 朝日新聞
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再開の対象は、福島県など10都県を除く37道府県の水産物。 朝日新聞
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再輸出にあたっては「放射性セシウムなどの検査証明書」「生産地域証明書」「原産地証明」など詳細な書類を中国税関に提出する必要がある。 Reuters+1
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中国税関総署は公告(税関総署公告2025年140号)を出し、条件付きで輸入再開を認めた。 JETRO
3.4 賠償と補償
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東京電力(東電)は賠償責任を果たしており、処理水放出の影響による事業者への賠償額は巨額にのぼる。 福島テレビ
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東電は複数回の賠償支払いを実施し、水産事業者への補償を進めてきた。 福島テレビ+1
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補償に加え、政府支援と併せて被害を受けた漁業者・加工業者の経営安定を図る。
3.5 風評被害対策・情報発信
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政府・業界合同で「風評被害対策」の体制を強化。国内外への情報発信を強化し、安全性の理解を広げる。
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首相などのトップが、消費者や国際社会に向けて安全性を説明。特にSNSやウェブでの情報まとめを行っている。
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地域ブランド(例:福島・常磐もの)、トレーサビリティ強化を通じて、消費者の信頼を再構築。
4.政策の成果と現在の状況(2025年時点)
4.1 翻過点:輸出再開の合意
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日中両政府が合意に至ったことで、全面禁輸からの緩和が実現。 朝日新聞
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ただし、再開されたのは10都県を除く地域産品のみ。福島県など処理水放出地域に関しては依然として輸入停止措置が続いている。 福島テレビ
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再輸出には厳密な証明書類が必要であり、中国税関による管理も継続。 Reuters
4.2 業者の反応と不安
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ホタテ業者からは再開を歓迎する声がある一方で、「価格高騰」への懸念もある。 朝日新聞
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また、再輸出可能な施設が限定されており、許可を得た事業者が少ないという指摘もある。 YouTube
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高齢化が進む加工現場では、人的リスクや後継者不足も深刻な課題。 朝日新聞
4.3 モニタリング効果と信頼構築
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IAEA を交えた追加的モニタリングにより、データの透明性が向上。 朝日新聞
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中国側の参加を通じて「安全性の科学的根拠」が共有されており、輸入再開の基盤が整いつつある。 朝日新聞
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ただし、風評被害を完全に払拭するには時間がかかる。国内市場や消費者の信頼回復が重要なテーマ。
5.商品別にみた総括と示唆
5.1 ホタテ:最も影響が大きかったが、最も対策も進んだ
ホタテは、中国向け輸出比率が高かったため被害も大きい。一方で、加工方法の転換(海外加工 → 国内逆輸入)、販路の多角化、政府支援の導入など、業者と国が共同で対策を講じてきた。今後は、再輸出を安定的に行うためのコスト管理、検査証明の効率化が鍵になる。
5.2 ナマコ:再輸出のハードルが高いが潜在力あり
ナマコは加工品としての輸出再開が見込まれるが、再登録や品質証明がボトルネック。国内消費を掘り起こすことと、加工技術の高度化が重要。再開できた場合の収益回復余地は大きいため、業界としては戦略的な投資価値がある。
5.3 ブリ・鮮魚類:リスク分散とブランド戦略が課題
鮮魚類や養殖魚は、中国以外の市場への依存を強める必要がある。付加価値化(ブランド魚、トレーサビリティ魚)や国内消費への転換を進めることで、リスクを分散しつつ安定した販売体制を目指すべきだ。
5.4 加工品全体:品質保証と信頼回復が肝
冷凍魚、干物、缶詰などの加工品は、証明書類や検査体制を強化することで再輸出を見込める。また、国内市場でも「安全・高品質」のブランドを確立することで、長期的な成長が可能。
6.今後のポイントと提言
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認証・証明制度の効率化
再輸出の条件(原産地証明、放射性物質検査証明など)が事業者にとって負担となっている。国はこれらの手続きを簡便化し、コスト削減を支援すべきである。 -
モニタリングの継続と透明性強化
IAEA を含む国際的なモニタリング体制を継続し、定期的な報告と公表を通じて国内外の信頼を維持する。 -
国内市場の底上げ
風評被害払拭のため、消費者向けキャンペーン(フェア、PR イベント)、学校給食など公共調達を通じた需要喚起を強化。 -
加工・流通インフラの強化
殻むき機などの機械化による生産効率化、高齢化対策、後継者育成を進める。さらに、輸出向け加工施設の整備と認定を支援。 -
輸出多元化戦略
中国以外の国・地域への輸出ルートをさらに拡大。ASEAN、欧米、中東など、成長市場での販路開拓を国と民間が協働。 -
賠償と支援制度の安定化
東電および国による賠償と支援を持続的に行い、不確実性を抱える漁業・加工業者の経営基盤を安定させる。
結び
福島第一原発の処理水海洋放出に端を発した中国による日本産水産物の全面禁輸は、日本の水産業にとって大きな打撃となった。しかし同時に、その苦境は業者および政府にとって構造改革とリスク分散を進める契機ともなった。
ホタテやナマコ、ブリなど主要な水産物ごとに、企業は販路の多角化や加工方法の転換、品質証明体制の強化といった取り組みを進めている。政府は財政支援、モニタリング強化、賠償制度などを通じて業界を支えてきた。日中間の輸出再開合意は重要な転機だが、完全な回復にはまだ課題も多い。
今後は、再輸出の運営コストを下げ、国内消費をさらに喚起し、加工・流通インフラを強化することが、持続可能な成長への鍵となる。こうした対策を進めながら、信頼回復とブランド強化を図ることで、日本の水産業は逆境を乗り越え、より強靭な体制を築き上げる可能性がある。
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