日中関係が比較的良好だった時期(特に2022年前後)の日本から中国への水産物輸出状況と『日本の水産物買うのやめたわ』な習近平さんのLINEスタンプ
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昨日わたしは「中国市場など最初からないと思った方がいい」といったような極端な書き方をしたが、単に「やめちゃえ」というのは簡単だがそれではあまりにも無責任なので、実際に好調だったときは対中国の水産物の輸出はどの程度あったのか調べてみた。
以下は、日中関係が比較的良好だった時期(特に2022年前後)を中心に、日本から中国への水産物輸出状況を、品目別の絶対額(量が統計上出ているもの)および中国市場が日本の水産物輸出全体に占めるシェアを、可能な限り公表データをもとに整理・分析した内容である。なお、統計資料には「量(重量ベース)」が細かく品目別に公表されているものが限られており、本稿では主に金額ベースでの分析を行っている。
はじめに
日本と中国の貿易関係、とりわけ水産物輸出は、両国間の経済関係および水産業界にとって重要な柱であった。特に、2022年の時点で日本の水産物(海産物)輸出全体において、中国は最大の輸出先国であり、市場としての依存度がかなり高かった。この記事では、その頃の水産物輸出の実績を分析し、主要品目別の金額、ならびに中国市場が日本の水産物輸出全体に占めていた割合を明らかにする。
以下、まず統計データを示し、その後分析・背景、そして結びとして意味を整理する。
統計データ:日中関係良好期(2022年頃)の水産物輸出
日本の水産物輸出全体(2022年ベース)
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農林水産省・関連統計によれば、2022年の日本からの**水産物輸出額(海産物輸出額)**は ¥387.3 億円であった。 Nippon+2Nippon+2
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このうち、中国向け輸出額は ¥87.1 億円であり、全体の 22.5% を占めていた。 Nippon+1
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よって、2022年時点では中国が日本の水産物輸出における最大の輸出先国であった。 Nippon+1
品目別・中国向け輸出(2022年)
中国への輸出金額は品目別にも公表されており、特にいくつかの高付加価値水産品が大きな比重を占めていた。以下、主要な品目を整理する。
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ホタテ貝(日本産ホタテ)
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中国向けホタテ輸出(2022年)は ¥467 億円。 農林水産省+2JETRO+2
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全体のホタテ輸出額も2022年には ¥910 億円程度で、過去最高を記録したという。 Nippon+1
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したがって、ホタテ全輸出に対する中国向け割合は 約51.3%。実際、ニッポン.comの記事でもこの割合が指摘されている。 Nippon
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ナマコ(調製品)
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中国向けナマコ(調製品)の輸出額は ¥79 億円。 JETRO
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かつお・マグロ類
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中国向けかつお・マグロ類(鮮・冷凍などを含む)は ¥40 億円。 JETRO+2CRI Japanese+2
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その他
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銀行系アジアニュース資料によると、高級食材市場において日本産水産物は品質・安全性の評価が高く、カンパチ、シマアジ、のどぐろ、太刀魚、ブリなども中国市場において重要な存在であった。 山口銀行
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ただし、これらの品目については公表データで中国向けの明確な金額が統計資料上まとまっていない(公開報道・統計で詳細なブレイクダウンが限定的)。
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分析:中国市場の位置づけと意味
以上のデータをもとに、日中関係が良かった時期における中国市場の重要性、およびそのリスクと意味について分析する。
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中国は主要輸出先
日本の海産物輸出額(387.3億円)のうち、中国向けが87.1億円、つまり約22.5%を占めていた。これはかなり高い比率であり、輸出先として中国が非常に重要な市場だったことを示している。 Nippon+2Nippon+2 -
ホタテの依存度が極めて高い
ホタテ貝は日本の輸出水産物の中でも特に重要な主力品目であり、その輸出額の半分以上が中国向けであった(51.3%)。 Nippon+1-
これは中国市場での日本産ホタテのブランド力・需要の強さを示しており、高級食材として定着していたと考えられる。
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また、中国業者が日本の殻付きホタテを輸入し、むき身にして中国国内や他国(例:アメリカ)に再輸出するビジネスモデルもあった。 Nippon
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ナマコやマグロ類などの高級・特殊品も重要
ナマコ(調製品)で79億円、マグロ・カツオ類で40億円という数字は、これらの品目がただのサイド商品ではなく、中国市場において一定の存在感を持っていたことを意味する。 -
リスクの存在
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市場集中リスク:ホタテなど主要品目の輸出が中国に大きく依存していた場合、中国側の政策変動や輸入規制が直接的に日本の水産業・輸出企業に大きな影響を及ぼす。
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品目リスク:高付加価値品(ホタテ、ナマコ、マグロ等)に依存していると、価格変動や消費者嗜好の変化、為替リスクの影響も大きくなる。
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政治リスク:事実、2023年以降、中国は「処理水(福島第一原発の処理水)」問題を理由に日本産水産物を全面的に禁輸。 JETRO+1
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戦略的価値
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中国との高い依存関係は短期的利益をもたらすが、安定性には課題がある。
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日本の水産業界にとって、中国市場での成功はブランド力の強化や高価格帯市場の確保につながっていた。
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一方、輸出依存度を抑えつつ、多角化を図る必要性も潜在的に認識されていた。
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背景:なぜ中国市場が拡大したか
日本産水産物が中国で受け入れられた背景には、以下のような要素がある。
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品質と安全性
日本の水産物は品質が高く、衛生管理、安全性に対する信頼が強かった。特に高級食材市場では、日本産の鮮魚・貝類が重宝された。 山口銀行 -
中国国内の供給ニーズ
中国は経済発展に伴い、都市部の食の多様化・高級化が進んでおり、日本産海鮮はその高級食市場や日本食(寿司・海鮮料理)ブームと結びつきやすかった。 山口銀行+1 -
再輸出を含むサプライチェーン
中国業者が日本からホタテの殻付き製品を輸入し、むき身にして中国内で消費するだけでなく、他国へ再輸出するというモデルがあった。 Nippon -
日本の輸出政策
日本側でも水産物の輸出拡大戦略があり、高付加価値品(ホタテ、ブリ、真珠など)を重点とした輸出方針があった。 農林水産省+1
警戒点・リスクとその教訓
日中関係が良好だった時期における日本の中国向け水産物輸出には、成功だけでなく潜在的なリスクもあった。これを踏まえ、今後に向けた教訓を整理する。
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過度な市場依存のリスク
中国市場に依存しすぎたホタテなどの主要品目は、一旦政策リスクが生じると影響が甚大である。これはリスク分散の重要性を示す。 -
多角化戦略の必要性
漁業・水産加工業者、輸出業者は中国以外の市場(米国、東南アジア、ヨーロッパなど)への販路多様化を進めるべき。
実際、禁輸措置以降、こうした動きが報じられている。 ICSF+1 -
高付加価値・差別化商品の強みを活かす
中国市場において高品質・高級水産物への評価が高かったことは強みである。今後も差別化された製品(品質、安全性、ブランド性)を武器に展開することが有効。 -
政治リスク管理
水産物輸出は外交リスクと密接に結びついている。政治リスクを見据えた経営・国際交渉が必要である。 -
統計・情報の強化
品目別・数量別の統計データをより詳細に収集・分析することで、リスクモニタリングおよび戦略立案の精度を高める必要がある。
結び
日中関係が比較的良好であった2022年頃、日本の水産物輸出において中国は極めて重要な市場だった。全体輸出額の22.5%を占め、ホタテ、ナマコ、マグロなど高付加価値品目でも顕著な存在感を示していた。これは、日本の水産業界が中国市場を長期的成長の源泉とみなしていたことを反映している。
しかし同時に、この依存構造には明確なリスクがあった。政策リスク、為替リスク、品質競争リスクなど、多面的なリスクが潜在しており、実際に2023年以降の禁輸措置という形でそれが顕在化した。
今後の展望としては、中国市場の再開期待を抱くと同時に、輸出先の多角化や高付加価値化、そしてリスク管理を強化することが、水産輸出業界・政策サイド双方にとって重要である。
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