死刑が求刑されるのはどのような犯罪か、と「こんな人たちに負けるわけにいかない」シンゾーさんのLINEスタンプ
LINEアニメスタンプ(非公式)
このスタンプはおそらくシンゾーさんが秋葉原で演説されたときに野次る一部の群衆を指して述べた言葉だと思う。今日の記事にこのスタンプはふさわしくないという気持ちもあるが、わたしはシンゾーさんのこういった闘志あふれる姿勢がとても好きだったので敢えて今日のスタンプに再び選択してみたのだった。
死刑が求刑されるのはどのような犯罪か
山上被告に無期懲役が求刑された理由と、日本の死刑適用基準を徹底解説
はじめに|「なぜ死刑ではないのか」という疑問
安倍晋三元総理大臣を銃撃し、殺害したとして起訴された山上徹也被告に対し、検察は死刑ではなく無期懲役を求刑した。この判断に対し、世論の一部からは「元総理大臣を殺害したのに死刑ではないのか」「テロではないのか」という疑問の声が上がった。
本稿では、日本の刑事司法制度においてどのような犯罪が死刑に該当するのかを、刑法の条文、判例、量刑基準、そして実際の運用という観点から詳細に解説する。あわせて、山上被告事件がなぜ死刑求刑に至らなかったのかについても、制度的・法理的に整理する。
日本における死刑制度の基本構造
死刑は「刑法上」どのように位置づけられているか
日本の刑法では、刑罰は以下の5種類に分類されている。
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死刑
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懲役
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禁錮
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罰金
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拘留・科料
この中で死刑は最も重い刑罰であり、適用は極めて限定的である。重要なのは、「死刑が規定されている犯罪」と「実際に死刑が求刑・判決される犯罪」は必ずしも一致しないという点である。
死刑が規定されている主な犯罪類型
刑法上、死刑が法定刑に含まれる犯罪
現在の日本法において、死刑が法定刑として規定されている主な犯罪は以下のとおりである。
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殺人罪(刑法199条)
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強盗殺人罪(刑法240条)
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強盗致死罪
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現住建造物等放火致死罪
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航空機墜落等致死罪
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外患誘致罪(刑法81条)
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内乱罪の首謀者(刑法77条)
ただし、これらの犯罪を犯せば自動的に死刑になるわけではない。実際の量刑判断は、複数の厳格な基準に基づいて行われる。
死刑適用の最大基準「永山基準」とは何か
永山基準の成立
日本の死刑判断において最も重要な基準が、1983年の最高裁判例で確立された永山基準である。これは、連続射殺事件を起こした永山則夫被告の裁判を通じて形成された量刑判断の枠組みである。
永山基準の9要素
死刑適用の可否は、以下の9項目を総合的に考慮して判断される。
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犯罪の性質
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犯行の動機
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犯行態様(計画性・残虐性)
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被害者の数
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被害者遺族の感情
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社会的影響
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犯人の年齢
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前科の有無
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反省の程度
特に重要視されるのが、被害者の人数である。
実務上の「死刑ライン」はどこにあるのか
原則:被害者が複数であること
裁判実務において、死刑が選択されるケースの多くは、
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被害者が2人以上
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計画的・残虐
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社会的影響が極めて大きい
という条件を満たしている。
逆に言えば、被害者が1人のみの場合、死刑判決は極めて例外的である。
実例で見る死刑が求刑・判決された事件
死刑が確定した代表的事件
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地下鉄サリン事件
被害者13人、無差別大量殺戮、国家転覆思想 -
相模原障害者施設殺傷事件
被害者19人、計画的・差別思想 -
北九州監禁殺人事件
被害者7人、長期間の拷問と殺害
これらはいずれも「多数殺害」「極端な残虐性」「社会的衝撃」という要素を満たしている。
山上被告事件はなぜ死刑求刑ではないのか
被害者は1人であるという決定的要因
山上被告の事件は、日本社会に与えた衝撃の大きさという点では極めて重大である。しかし、量刑判断において最も重視される「被害者数」は1人である。
この一点が、死刑求刑を困難にしている最大の理由である。
テロ行為ではないのかという疑問
本事件は政治的影響が大きく、「テロ」と表現されることも多い。しかし、日本の刑法には包括的なテロ罪は存在しない。
あくまで適用されるのは、
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殺人罪
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銃刀法違反
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公選法違反(該当部分)
などであり、「国家転覆」や「内乱」には該当しないと判断された。
犯行動機と責任能力の問題
裁判では、宗教団体への強い怨恨や、個人的な境遇が動機として詳細に審理された。これらは犯行を正当化するものではないが、量刑判断において一定の斟酌要素となる。
仮に死刑が求刑されるとすれば、どのような場合か
同様の事件で死刑となる想定ケース
仮に以下の条件が加わっていれば、死刑求刑の可能性は格段に高まっていたと考えられる。
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複数の政治家や一般市民を殺害
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無差別的犯行
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組織的・思想的背景による大量殺戮
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爆発物などによる多数殺害
これらは永山基準を強く満たす要素である。
日本の死刑制度は「感情」ではなく「基準」で動く
日本の刑事司法は、世論の怒りや象徴性ではなく、過去の判例と一貫性を極めて重視する。もし本件で死刑が求刑されれば、過去の「被害者1人」の事件との整合性が崩れ、量刑体系そのものが揺らぐことになる。
まとめ|死刑が求刑される犯罪の本質
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死刑は法律上存在するが、適用は極めて限定的
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最大の判断基準は「被害者の人数」
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被害者1人の場合、無期懲役が事実上の上限
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山上被告事件は社会的影響は甚大だが、量刑基準上は死刑に該当しにくい
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日本の死刑制度は感情論ではなく、判例主義で運用されている
この事件は、日本の死刑制度の限界と、法治国家としての冷徹な判断基準を浮き彫りにした事件であると言えるだろう。
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