復活の日~草刈正雄さん主演のかわいいイラスト

通常であればゴールデンウィーク。しかし、いまはスティホーム週間。普段は映画を見る時間などないのだが、せっかくなので、
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で楽しんでいる。

謳い文句の「見放題」はどうしても「古い映画」かそれほど「売れなかった映画」のどちらかになる。それで「古くて売れなかった映画」である「復活の日」を約40年ぶりに観た。そう、お金に糸目をつけなかった角川映画の象徴。当時、ハリウッド映画並みにお金をかけた映画だった。

総製作費は約25億円プラス広告宣伝費。興行収入は24億円だったらしい。24億円というのはその年の日本映画の興行収入の第2位で、これより売れたのは黒澤明監督の「影武者」だった。この映画、かなり健闘したと思うのだが、収支が1億円プラス広告宣伝費ぶんの赤字、ということで「失敗」と言われているだけだ。なので「売れなかった映画」ではない。

ストーリーをひとことで言うと、ウィルスが人類を滅ぼし、その後大地震が来て、全世界に核ミサイルの雨が降るお話だ。それぞれが映画を一本撮れるほどのパニックだがこの映画ではそれが次々に起こる。パニックのシャワーである。そういった意味でも贅沢な映画だ。お話の主軸は人類が死滅した後、南極に残された863名の人たちの人間ドラマである。滅亡に瀕した時、人々はどういう行動をとるのか?。そういう視点で見ると、至極まっとうな映画だったと思う。

主人公の地震学者・吉住周三(良純ではない)を演じたのが草刈正雄さん。当時の草刈さんはあまりにもイケメン過ぎて日本人には見えない。草刈さん以外には千葉真一さん、渡瀬恒彦さん、夏八木勲さん、緒形拳さん、森田健作千葉県知事、永島敏行さん、多岐川裕美さん、小林稔侍さんらが出ている。それ以外にも有名な俳優さんが出ていた。そうそうたる顔ぶれだ。

外国の俳優ではグレン・フォードさん、ロバート・ボーンさん、ジョージ・ケネディさんやオリビア・ハッセーさんらが出ていた。オリビア・ハッセーさんは「ロミオとジュリエット」でジュリエットを演じた美人さんで今見てもお美しい。

外国人のシーンでは全編英語だったのでそういった意味では自然なのだが、東欧でウィルスが取引されるシーンが英語だったり、外国人なのに日本的な情緒を持ったセリフが多かったので、その辺が残念だった。ホワイトハウスで大統領とその政敵がお互いを認め合いながら死んでしまうシーンである。ただし、この映画のような未曽有の危機に瀕した時、外国人たちもわれわれと同じように情緒的になってしまうのかもしれない。

ネタバレで恐縮だが、映画の中でもっとも衝撃的だったのは、生き残った人類の男女比率が約855:8で、男性107名に対して女性が1人だったことだ。この映画をリアルタイムで見た時(少年の頃)にはそれほど怖いと感じなかったが、今見るとかなり恐ろしい。映画の中では「女性は今や人類の最も重要な資源である」と宣言され、性交渉を管理され、複数の男性との性交渉を強いられるのだ。それもくじ引きで。恐ろし過ぎるが実際にこういう事態になればこの映画のような感じになっていくのではないかと思った。

映画の中に登場するMM-88という生物兵器は空気感染をして致死率45%(劇中ではこう言われていた)だが実際はほぼ100%で映画の最後の方まで治療薬やワクチンはない。放射能にはめっぽう弱かったため世界中で起きた核爆発でウィルスは死滅するのだが、この「毒を以て毒を制す」がその当時の社会に向けた皮肉なのだろうと思う。しかしそれは2020年の現代にも通じるものがある。

またネタバレになってしまうがアメリカでARS(Automatic Reaction (Revenge) System~自動報復システム)という架空の防衛システムがあり、をれを作動させてしまった狂信的タカ派のガーランド中将というのが登場するが、まるでラムズフェルド元国務長官をかなりおかしくしたような人で、とても怖かった。

またまたネタバレで恐縮だが、ワシントンのホワイトハウスに決死の覚悟で赴いた「ARS阻止作戦」にすんでのところで失敗した吉住(良純ではない)は徒歩で南米アルゼンチンの南の方までさ迷い歩く。その途中、マチュピチュの遺跡を通る場面がある。マチュピチュは15世紀のインカ帝国の遺跡でアンデス山麓の標高2,430mのところにあるのだ。ほんの数秒のカットなのだが、遺跡の中に立つ吉住(良純ではない)を撮りたいがためだけに撮影隊と吉住とヘリコプターを運んで行ったのかと思うと恐れ入る。そもそも完全に採算を度外視した映画だったのだ。

原作は「日本沈没」(1973年)で有名な小松左京さん。小説「復活の日」は1964年に書かれたSF小説である。執筆時には元祖「香港かぜ」が猛威を振るっていたそうだ。そのとき世界で少なくとも50万人が亡くなったらしい。今でいうインフルエンザの香港A型ウィルスである。同時にその頃は東西冷戦の真っただ中の時代でもあった。

1980年代よりも今の方が医学もだいぶ進歩しているはずだが、新型コロナウィルスによりわれわれ人類は未曽有の危機にある。「未曽有の危機」というのは映画か小説の中だけのものと思っていたが、今現在われわれはその「未曽有の危機」を体感している。しかし映画と違うのは、「家にいる」だけで感染を止められ、そのうち治療薬やワクチンが開発されればこの危機は去るのがわかっているところだ。「復活の日」に比べたらかなり幸せだ。なのでみんなで家に居ましょう。

そんなこんなで当分の間、「見放題」のお世話になるだろう。

なお、この「復活の日」は、新型コロナウィルス関連の事象にトラウマを感じている人はご覧にならない方がいい。劇中登場する「死者にあふれた街や病院」はシャレにならない。その衝撃的な映像だけでわたしは怖くなった。今はリアリティあり過ぎだからだ。

そんな人は「戦国自衛隊」(主演・千葉真一、夏八木勲)をご覧になった方がいい。これはもともと正月映画として準備されていた「復活の日」が、事故などのトラブルで公開延期になったために、代わりに後から上映するはずだった「戦国自衛隊」を正月映画にしてしまったのだそう。今は普通になってしまった「タイムスリップ物」の元祖である。ウィルスによる人類滅亡は起こりうるが、タイムスリップはあり得ないから安心だ。

今日のGIFアニメは「復活の日」出演時の、吉住(良純ではない)に扮した草刈正雄さん。それだけだと寂しいので後ろには現代の楽しい仲間たちを配置した。





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