そもそもガソリン税ってなんなのか?と『ガソリン税廃止じゃあっ!』な高市早苗さんのLINEスタンプ
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高市首相「ガソリン暫定税率、速やかに廃止」初閣議で経済対策指示へ
財務省から見て、高市さんはどういう立ち位置なのだろうか?
ガソリン税とは何か――その仕組みと課題、そしてこれからの日本のエネルギー政策
私たちが日常的に車を運転する際、最も身近に感じる税の一つが「ガソリン税」である。ガソリンスタンドで給油するたびに、リッターあたりの価格に含まれている税金がどれほどの割合を占めているのかを意識する人は少ないかもしれない。しかし、このガソリン税こそが、戦後日本の道路整備やエネルギー政策を支えてきた重要な財源である。
ガソリン税の基本構造
ガソリン税とは、ガソリンを購入する際に課される「揮発油税」と「地方揮発油税」を指す。これら2つを合わせて一般的に「ガソリン税」と呼ぶ。揮発油税は国税、地方揮発油税は地方税であり、両方を合わせるとリッターあたり53.8円(本則税率48.6円+暫定税率5.2円)が課されている。
さらに、このガソリン税には消費税が「二重に」かかる構造になっている。すなわち、ガソリン価格そのものに加え、税金分にも消費税が上乗せされているのだ。この「税に税をかける」仕組みは長年議論の的となっており、消費者の負担感をより強くしている。
ガソリン税の歴史的背景
ガソリン税が導入されたのは戦後間もない1950年代である。当初は道路整備を進めるための「目的税」として設けられた。高度経済成長期には、自動車の普及に伴って道路の需要が急増し、ガソリン税収は国家のインフラ整備を支える基盤となった。
1970年代のオイルショック以降、エネルギー政策が大きく見直される中でも、ガソリン税は安定した財源として活用され続けた。しかし、2009年に「道路特定財源制度」が廃止され、ガソリン税は「一般財源化」された。これにより、税収は必ずしも道路建設に限定されず、社会保障や環境対策などにも使われるようになった。
ガソリン税の仕組みと内訳
ガソリン1リットルあたりの価格には、以下の税金が含まれている。
- 揮発油税:48.6円
- 地方揮発油税:5.2円
- 消費税(10%):ガソリン本体価格+上記税額に対して課税
例えば、ガソリンの本体価格が110円の場合、税金を加えるとおおよそ160円前後になる。このうち約半分が税金であり、国民は給油のたびに相当の負担を強いられていることになる。
ガソリン税と環境政策
近年、ガソリン税は単なる財源という側面だけでなく、「環境税」的な性格も帯びてきている。化石燃料を使用する自動車が排出する二酸化炭素(CO₂)は地球温暖化の主要因であり、ガソリン税はその抑制手段の一つとされる。
ヨーロッパ諸国では、環境負荷に応じた「カーボンプライシング」が導入されており、日本でも「炭素税」や「カーボンニュートラル戦略」の議論が進む中で、ガソリン税の役割が再定義されつつある。つまり、税を単なる負担ではなく、環境負荷を減らすための価格シグナルとして活用する方向にシフトしているのだ。
暫定税率と「ガソリン値下げ隊」問題
ガソリン税を語る上で避けて通れないのが「暫定税率」である。もともと1970年代に設けられた暫定措置であり、本則税率よりも高い税率が適用されている。しかし、この暫定措置が半世紀近くも「恒久化」していることが問題視されてきた。
2008年、民主党が「ガソリン値下げ隊」を結成し、暫定税率の廃止を訴えたことは記憶に新しい。結果的に暫定税率は維持されたが、この議論を通じて国民が初めてガソリン税の構造的な問題に注目するきっかけとなった。
ガソリン税の地域格差と地方財政
地方揮発油税は自治体に配分されるが、人口や車の保有台数に応じて分配されるため、地方によって恩恵の差がある。また、過疎地では公共交通機関が乏しく、自家用車が生活必需品となっている。そのため、ガソリン税の負担が都市部よりも重く感じられる構造になっている。
こうした地域格差を是正するため、政府は「地域交通インフラ整備交付金」などの仕組みを設けているが、ガソリン税の本質的な不公平感は依然として残っている。
電動化時代におけるガソリン税の行方
近年、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)の普及が進む中で、ガソリン税収の減少が懸念されている。ガソリンを使わないEVは、当然ながらガソリン税を支払わない。結果として、道路維持やインフラ整備の財源が縮小するリスクがある。
このため、将来的には「走行距離課税」や「EV課金制度」といった新たな仕組みの導入が検討されている。例えば、アメリカの一部州では既にEVに対して固定の道路使用税を課しており、日本でも同様の制度が導入される可能性が高い。
ガソリン税の今後――「負担から共創へ」
ガソリン税は単なる負担ではなく、社会の持続可能性を支える「共創の仕組み」として捉える必要がある。道路整備だけでなく、環境政策、地域交通、災害時のインフラ復旧など、多面的な役割を担う財源だからである。
しかし同時に、時代に合わない税制が温存されている現実も無視できない。暫定税率の見直し、二重課税の是正、そしてEV時代にふさわしい課税体系への移行が急務である。政府と国民がともに「次世代のエネルギーと交通のあり方」を考えることが求められている。
まとめ:ガソリン税をどう再設計するか
ガソリン税とは、単なる「ガソリンにかかる税」ではない。それは日本の社会基盤、環境政策、そしてエネルギー戦略の根幹をなす制度である。消費者から見れば負担の象徴であるが、国家財政から見れば不可欠な柱である。
今後、カーボンニュートラル社会を目指す上で、ガソリン税をどのように再設計するかが問われている。経済負担の公平性、環境負荷の抑制、地方財政の安定――そのすべてを満たす新しい税制こそが、日本の次の時代を支える礎となるだろう。
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